わが子にピアノを教える方法 3~4歳児編   レッスンを始めてもいいか見極める

 リライト 2021年5月30日

 

 


母:

趣味で楽しむピアノの先生「はむすた母」です。

娘:

このページの編集長「はむすた娘」です。

ピアノは母に習いました。

 


ご自分がピアノを習っていたことがあるお母様から、

 

「自分で子供に教えてみたいです。

 もしよかったら、

 レッスンの方法を教えてください。」

 

というご相談がありました。

 

お子様は、3歳の女の子さんです。

 

 

長い記事になりますので、

お時間のある時にお読みください。

 

 

もくじ 

 

 

 

3~4歳のお子様のレッスンは

ピアノの先生にとっても厳しいことがあります。

 

 

お子様によっては

「集中力がもう少し育ってからの方がいいかな」

と、思われることがあるからです。

小学校に入学前のお子様は

個人差の大きい時期だとまず理解してください。

 

 

親の目で見て

「落ち着いて座っていることは苦手かな」

と、思われるなら

しばらく時間を待った方が

親子ともに大変な思いをしなくて済むかもしれません。

 

 

まずは試してみて

お子様の特性を見極めて、楽しむことに集中してください。

 

 

 

 

おためしのレッスン

 

レッスンが可能かどうか、「お試しのレッスン」をしてみましょう。

楽器は、お手持ちのものを使います。

「お試しレッスン」は、鍵盤ハーモニカでもかまいません。



時計を見ながら、一つのセクションを3分程度で進めていきます。

お子様の集中力と、

教える保護者様の集中力と覚悟を「お試しする」のが目的です。

 

 

先生役、保護者様の準備

 

生役の保護者様は

お子様と「お試しレッスン」をする前に

必ず準備をしてください。

 

教える側の準備ができていないと、

始まりの時点にいる生徒さんは

「つまらない」

「期待に反している」

と、感じてしまうからです。

(これは大人の生徒さんでも同じです)

楽しくなければ、レッスンは続きません。

しっかりと準備しましょう。

 

 

 

まずは

「ピアノの時間は親子ではなく、先生に徹する」

と、自分に暗示をかけます。

 

親子レッスンは「イライラ」が、つきものです。

 

いきなり厳しいことを言いますが

「イライラするのは、先生としての覚悟が足りないから。

 よそのお子様が生徒さんなら、自分はどうするか。」

を、常に考えて徹底してください。

 

 

その上で、

生徒さんであるお子様の興味を引き付けておけるように

楽しい時間を演出します。

お子様の反応を予想しながら、自分の対応を考えておきましょう。

できないことを無理にやらせる必要はありません。

ポイントは、

時間が長くならないように、テンポよく進めることです。

近くに時計を置いて「ワンセクション3分」で進めてください。

 

 

 

お試しレッスンを始めます。

 

頭の中で、お子様の顔を思い浮かべながら

趣味レーションしてみてくださいね。

 

ごあいさつから、始めましょう

 

「今からピアノのレッスンをします。」

と、お子様に宣言してください。

きちんと向きあって、

「よろしくお願いします。」

と、あいさつして始めます。
 

 

はむすた娘から豆知識です

 

この「ごあいさつ」は気分を切り替えるのに大事な言葉です。

授業が始まる前の「号令」と同じで、

それまでの時間との切り替り替えをするための儀式になります。

 

ご自宅で、親子でレッスンするなら、

時間と気分をきっちり切り替えないと

レッスンに対する気分が追いついていきません。

 

レッスンをするときは必ず

「ご挨拶をしましょう」

と、声をかけてあげてください。

 

 

セクション1.指番号の練習

 

最初に、指番号を教えます。

お子様に

「1から5まで、数えられるかな?」

と、話かけてみましょう。

一緒に

「1,2,3,4,5」

と、大きな声ではっきりと言います。

 

お子様が数えられるようなら、

「ピアノでは、お父さん指、お母さん指を

 1の指、2の指と番号で呼びます」

と、教えます。

 

お父さん指が、1の指

お母さん指が、2の指

お兄さん指が、3の指

お姉さん指が、4の指

赤ちゃん指が、5の指

 

ざっくりと覚えたら、掌を合わせて、

1番から5番まで指番号を確認します。

 

その後、指先だけをくっつけて

お子さんの手と手の間に、グーにした保護者様の手を入れます。

お子様の指が丸い形になったら、

「その丸を潰さない指の形が

 ピアノを弾く時には大事だから

 よく覚えておいてね」

と、伝えましょう。

 

ここまで、3分で済ませます。

時計を見て確認してください。

 

 

セクション2.指を動かす練習

 

1番から指をひとつずつ離す練習をします。

 

お子様が指先をくっつけたまま、

先生役が中にグーをいれた状態で手の形を丸く保って

「1.2.3.4.5」

と、声をかけながら指を1本ずつ

「離したり」「くっつけたり」

を、繰り返して行います。

 

指先がくっついた時に、

「指先がとがらないようにね。」

と、声をかけながら

「もう一度やってみよう。」

と、声をかけて2回行います。

 

指先がとがった時には、「とがってるよ~」と笑顔で

指先が丸い形を作れたら「きれいな形だね」とほめながら

2回目を行ってください。

 

3分かからなくても、「2回出来ればよし」とします

 

 

 

セクション3.椅子の高さと位置のチェック

 

小さい子供さんがピアノの練習を始める場合、

楽器は安価なものでかまいませんが、

椅子だけは「ピアノ用(背もたれ付き)のもの」を

用意されることをお勧めします。

 

成長に従って座面の高さの調整が、必須だからです。

 

 

 

当然、お子様と保護者様では使用する座面の高さが違います。

いずれピアノのレッスンをするつもりなら、

椅子の購入計画をはやめに立ててください。

 

 

[楽器の位置]


テーブルにキーボードを置く場合、

テーブルの縁に合わせて楽器を置いてください。

お子様と一緒に、テーブルの縁に合わせて置けているか

確認しましょう。

 

 

[椅子の位置]

 

鍵盤の「ミドルC」(楽器中央のド)に

お子様のおなかが付くように立ってもらいます。

その位置から足を動かさずに

「椅子の座面の前側、3分の1程度に座れる場所」

が、椅子を置く場所です。

 

深く腰掛けないように注意してください。

一緒に確認しながら、椅子の場所を決めましょう。

 

 

[椅子の高さ]

 

鍵盤に対して

「ひじを90度にまげて、

 手首が曲がらずに指が鍵盤に乗る高さ」

に、座面を調整します。

 

座面の調整時に

指を挟みそうで危ないと感じるようなら

お子様が一人で調整しないようにお約束してください。

 

 

[足台の高さ]

 

足でしっかり体を支えるように、

上に立っても壊れない足台を用意してください。

足台がしっかりしていないと、背中が丸まって

姿勢が崩れてしまいます。

 

 

 

ペタルを使うくらいにレッスンが進む頃には、

お子様の体も大きくなってくるので

小さいお子様のための補助ペタルは必要ありません。

 

 

こちらのような専用台もありますが 

足台は高さが合っていれば、 

段ボールの箱に、新聞紙を入れたものでも構いません。

 

段ボール箱だけを用意する方をよく見かけますが

中がしっかり詰まっていないと、

力をかけることができずに危険です。 

乗ってもつぶれないように必ず中身を詰めてください。

 

 

ここまで、少し時間がかかりますが

「大事なことだから、覚えてね」

と言いながら

お子様と一緒に確認しながら進めてください。 

 

 

 

セクション4.ピアノを弾いてみます

 

ミドルC(真ん中のド)に、右手の1の指(親指)を置きます。

 

1度目は

「優しく弾いてね」

と、声がけして「ド」の音を出してみます。

 

 

2度目に

「一番下まで、押してる?」

と、確認してもう一度音を出します。

「一番下まで押すのが大事だからね」

と、声掛けします。

鍵盤の下まで押すことができたら

「いい感じだね」

と、ほめます。

 

 

3度目は

「小さい音で弾けるかな?」

と、弾いてみます。

鍵盤が下までさがっているか、チェックしてください。

 

小さな音が綺麗に出たら

「上手だね。」

と、ほめてあげてください。

 

鍵盤が下がっているのに音が出ないことがあります。

「それ、すごいことなんだよ。

 もう一度やってみて。」

と、音を出さない鍵盤の押し方をリクエストしてもOKです。

 

 

次に、左手でも同じことをしてみます。

 

ミドルCに、左手の1の指を置いて

1、音を出す

2、鍵盤を下まで下げる

3、小さな音で弾く

を、確認しながらやってみます。

 

うまくできたら

「上手に弾けたね!」

 

と、ほめてあげましょう。

 

ここまで、3分で済ませます。

以上でお試しレッスンは終了です。 

 

 

もっと弾きたがるようなら

 

右手123で「ドレミ」

左手123で「ドシラ」

 

を弾いてみましょう。

 

2度目は

右手で

「ドレミ」

と、弾きながら歌ってみます。

左手も

「ドシラ」

と、歌いながら弾いてみましょう。

 

「優しくね」

の声掛けを、毎回してください。

 

できたら、

「初めてなのに、上手にできたね。」

と、忘れずに声がけします。

 

 

はむすた母より、レッスンポイントです。

 

初めてすることは、誰でも不安です。

 

できたとしても、

「うまくできた」のか

「まあまあできた」のか

「あまりうまくできなかった」のか

自分では判断ができません。

 

「上手」「うまい」「OK」

などの、承認の言葉がけが必要です。

課題ができたときには、細かいことでもひとつづつ

必ず「できたこと」を認めてほめてあげましょう。

 

「できた」は「自信」につながり、

次へのステップになります。

 

 

ピアノのレッスンを始めるかどうかを見極める


お試しのレッスンは、

だいたい10分~15分で済ませます。

 

 

お子様も、先生役の保護者様も

集中が途切ず楽しめるようなら

レッスンを始めても大丈夫だと思います。


途中で飽きてしまったり、

他のことに注意が向いて楽しめないなら

まだレッスンは早いかもしれません。

半年から1年、間をあけて、

改めて始めることをお勧めします。

 

 

まだ早いと判断したときにできること

 

半年から1年の時間を待つ間に

普段から親子で楽しく歌ったり

保護者の方が楽しそうにピアノを弾いているところを

たくさんお子様に見せたりしましょう。

 

お友達のピアノの発表会へ行くのも、いいと思います。

 

楽しい体験がたくさんあって

身近な大人や、お友達に「あこがれの人」がいて

「なりたい姿」がイメージできた方が

その後のモチベーションもアップします。

 

 

「ピアノを弾けるようになりたい」という

気持ちを育てることを、

まず考えてみてください。

 

無理して早く始めることで

「音楽嫌い」にしてしまっては、

元も子もありません。

まずは「音楽は楽しい」という気持ちと環境を

育ててください。

 

 

 

3歳、4歳のお子様向け ピアノ教本の選び方

 

3~4歳のお子様向けの教本は 

・歌が付いていること

・曲が短いこと 

・1曲の中にミッションが、1つか2つ程度であること

が大事です。

 


また、

3~4歳のお子様とのコミュニケーションツールになるような 

・カラフルでかわいい挿絵 

・動物、花、乗り物、食べ物の挿絵がたくさんある

と、話が弾み集中のきっかけになります。

 

 

 

私が3~4歳の生徒さんに選んでいるのは

こちらの教本です

 

 

 

 

右手用と、左手用を一緒に並行して使っています

 

 


3~4歳児のお子様、練習の注意点



3~4歳は大人と一緒でなければ、練習はできません。

 

一週間のスケジュールは

レッスンを1日、

練習を5日、

1日休み

程度のルーティンにします。

 

 

練習の日は

「今からピアノの練習をします。」

と宣言して、練習を始めましょう。

 

練習は

「3~5分程度の集中できたら十分」

と、考えてください。

 

レッスンの日とのメリハリも大切です。

 

長すぎる練習は、

だらだらしてしまうだけで、いい効果は期待できません。

お子様の集中力に合わせて、

短時間で済ませるように心がけましょう。

 

 

この時期のお子様は、大きな音を出したがる傾向があります。

「ピアノは綺麗な音で弾こうね。」

「その音は、綺麗な音かな?」

と、

乱暴に鍵盤をたたいた時には その都度声をかけてください。

 

「乱暴な音は、ちっともきれいじゃないね。」

「それは、汚い音だと思うな。」

という言葉も、時には有効です。

 

丁寧に鍵盤に向かった時には

「今、いい音が出たね。」

という声がけもしてください。

 

また、

鍵盤を乱暴にたたくと指をケガする危険性があります。

機械が壊れることもあります。

「手が痛くなるよ。」

「ピアノが壊れるよ。」

「大事に丁寧に扱おうね。」

と、声をかけましょう。

 

声をかけた後で丁寧に扱えたら、すぐにほめることをお忘れなく。

 

 

 

もう一つの見極め点

 

私の経験から

生徒さんがひとりでの練習ができるのは、

小学2年生以上だと認識しています。

 

日々の練習に親が付き合うのはむりだと思うなら、

レッスン開始を2年生まで待たせた方が賢明です。

 

 

2年生以上で始めた場合、

本人が弾きたくて始めるので取り組みが主体的になります。

 

昨今はレッスンの開始年齢が速い傾向にあるので

「2年生以上では始まりが遅いのではないか」

と、心配する保護者様もおられますが

本人の主体性があれば、小学校卒業までには

年なりのレベルに追いついてくるので

「遅れること」に対する心配は

しなくても大丈夫だと思います。

 


はむすた母の思う「大事なポイント」

 

娘は3人いるわが子の中では、一番音楽上手になりましたが

ピアノを初めたのは 6歳に近くなってから「幼稚園の年長さんの秋」でした。

いろいろ気になることの多い子供だったので

3歳の時点ではピアノの前におとなしく座っているなんて

全然できないタイプでした。

それでも小学校を卒業するころには

「子犬のワルツ」が弾けるよになっていましたから、

その年齢としては、客観的に見ても

まあまあ上手なほうだったと思います。

 

音楽やダンスを楽しむことが上手な娘は

今も音楽が大好きです。

中学では吹奏楽部でコントラバス

高校では応援団でチューバを担当して楽しみました。

 

「好きでいてもらうこと」「嫌いにさせないこと」は、

お稽古の大事な一つの目標です。

先生役の保護者様は、

「一生、音楽を楽しめるように」

を第一目標にして、心してかかってくださいね。

 

難しいと思ったら、ご近所のピアノの先生に頼って

ご自分は「ほめ役に徹する」のも

一生音楽を楽しめるコツかもしれません。

 

 

この記事がご参考になればうれしいです。